少し走ると細かい雨が降ってきて、だんだん大粒になってきた。天気予報で雨が降るのは分っていたので、雨中走行は覚悟の上だ。
ワレワレ夫婦はSTとドラッグスターを道端に停め、レインウェアを着て走行を再開した。
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篠崎インターから京葉道路に乗り、雨の高速道路を安全運転で進んだ。ST250で高速道路を走るのは初めてだけど、左車線を80km〜100km位で走る分には全く問題無い。懸念された振動も、全然我慢できるレベルだ。
館山自動車道に入って、市原サービスエリアで休憩。
本日の昼食予定地は、金谷の「ザ・フィッシュ」。
まだ時間が早いので、一般道で向かうことにして姉崎袖ヶ浦インターで館山道を降りた。ここでアクシデントが発生した。
ETCで料金所を通過し、出口の右折車線の先頭で信号待ち。すぐに信号が青になった。俺が先に発進して右折し、かみさんが後に続く。
突然、無線インカムから「あ!滑った!!」というかみさんの声。そしてすぐにバイクが転倒する音。「だいじょうぶか?!」ミラーで確認するとドラッグスターもかみさんも倒れている。
俺は、焦ってSTを停め、かみさんに駆け寄った。無線インカムからは「イタタタタタタ」と言う声が聞えている。この時点で後続の車が3台停まってくれて、ドライバーの人がかみさんに「大丈夫ですか?無理に起きない方がいいですよ。」と声をかけてくれていた。よほど派手な転倒のしかただったのだろう。
俺はかみさんに「どこが痛い?」と声をかけた。かみさんは「大丈夫。バイクをはじに寄せて」と言った。
ドラッグスターは右折でスリップしたにも関わらず、何故か左側に倒れて、しかも進行方向のほぼ逆を向いている。
俺は、ドラッグスターを起し、切り替えして道路の脇に停めた。その間、別のドライバーの人がスマホで救急車を呼んでいる声が聞えていた。かみさんのところに戻ると、救急車を呼んでくれたドライバーの人が、「15分位で救急車来るから」と言った。
俺は「すみません。ありがとうございます」とお礼を言い、かみさんに「大丈夫か?」と声を掛けた。かみさんは「大丈夫。」と言って立ち上がった。左の腰と肘と肩を打ったらしく、転倒直後は痛そうにしていたがすぐに痛みは引いてきたようで、屈伸運動をしたり左肩を回したりしながら、「本当にだいじょうぶだ」と言った。
俺は停まってくれた3人のドライバーの人達に「ありがとうございました。もう大丈夫ですから」と言った。
3人の内の2人は「気を付けてくださいね」と言って出発して行き、救急車を呼んでくれた人は、救急車が来るまで一緒に待ってくれた。
まず高速警ら隊のパトカーが到着し、すぐに救急車が到着した。救急車を呼んでくれた人は救急隊員から2、3質問を受けて出発していった。俺とかみさんは「本当にありがとうございました」と何べんもお礼を言った。
かみさんは、「あの方が救急車呼んでくれたんですけど、もうだいじょうぶです」と救急隊員に言った。幸いにも奇跡的に、ドラッグスターはナンバープレートが曲がったくらいで、あとは無傷。
救急隊員の人は「そうですか、一応救急車に乗ってもらって、怪我してないか確認しましょう」と言い、かみさんは救急車に入って行った。
地元のおまわりさんがカブで到着し、高速警ら隊の人達と、地元のおまわりさんに事故の状況を分る限り説明した。
高速警ら隊の人がスリップしたと思われるあたりの地面を確認し、「砂利かなあ?」と言っていた。
思うに、1速で右折しながらアクセルを空け、濡れた地面の白線かあるいは砂利でスリップし、無意識に逆ハンを切りながらアクセルを開けたので勢いよくスリップして左側に転倒したのではなかろうか?
やがて、かみさんが救急車から出て来た。
救急隊員の人が「本人が大丈夫だって言ってますし、怪我もないようですので気をつけて行って下さい。」と言い、救急車は出発していった。高速警ら隊と地元のおまわりさんも出発して行った。
ワレワレ夫婦は、ドラッグスターのミラーの角度を直して出発し、慎重に進んだ。いやしかし、ナンバープレートが少し曲がった以外、ドラッグスターが全くの無傷なのが不思議だ。
何はともあれ、かみさんが無事で本当に良かった。
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かみさんが高速道路の方が走りやすいと言うので、ザ・フィッシュはやめにして君津インターから再び館山自動車道に乗った。
館山自動車道のパーキング、ハイウェイオアシス富楽里で昼食。
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俺は山菜おこわ、かみさんはフランクフルトをベーコンで巻いたやつと、おにぎりを購入。しかしかみさんは、食欲がないようでほとんどたべなかった。
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館山自動車道の終点、富浦インターで一般道に降りて、国道127号、国道410号、県道86号を進んだ。
午後3時。本日の宿、ホテル南海荘に到着した。
すでに雨は止んでいて、雲の隙間に青空が顔を出している。
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バイクは屋根のある通用口に停めさせてもらった。
荷物を降ろし、手分けして持ってフロントに向かった。
そしてチェックイン。
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部屋は5階の和室。
明るくて清潔で、落ち着く感じの部屋だ。
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窓からはこの景色。
ワレワレ夫婦は全体的に、この宿が気に入った。
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俺は速攻で大浴場に向かった。
ここの大浴場は湯船2つの内風呂と、洗い場だけのシンプルなものだ。
お湯は熱めで、俺にとってちょうどいい湯温だ。
若干の塩素臭。だが、気にしない。
ホテル南海荘の源泉は白浜野崎温泉、泉質はナトリウム−塩化物泉で、泉温18.5℃の源泉を40℃〜42℃に加熱して使用しているらしい。
大浴場を後にしてエレベーターホールに行くとちょうどエレベーターが来ていて、老夫婦がエレベーターに乗ろうとしていた。 高齢のおじいさんがキャリーバッグをエレベーターに載せようとしていたのだが、段差に引っかかって動かず、エレベーターのドアが閉じようとしてはキャリーバッグにぶつかっては開き、ぶつかっては開くという状況になっていた。おばあさんが、「ほら」、「早く」、「しなよ!」とかいいながらキャリーバッグをガンガン蹴飛ばして押し込もうとしている。
俺は走って近寄り、エレベーターのドアを抑え、キャリーバッグを持ち上げてエレベーターに乗せた。そして老夫婦と一緒に昇りのエレベーターに乗った。
俺は5階のボタンを押し、老夫婦に「何階ですか?」と聞いた。
おばあさんが「あ!7階お願いします。ありがとうございます」と言った。
おじいさんが「このエレベーター、閉まるの早くて危ないよ」と言った。
俺は、そうかなーと思いながら「危ないですよねー」と答えた。
やがて、エレベーターは5階に到着した。俺は開くのボタンを押し「どうぞー」と老夫婦に声を掛けた。
「あの、あたし達7階・・・」おばあさんが言った。
「あ、5階は俺だった!」と俺は言い、俺と老夫婦は「あっはっはっは」と声を合わせて笑った。
そんな愉快なひと時を過ごしたわけだが、いちいち書くほどのエピソードではない。(じゃ書くなよ)
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夕食は海鮮ビュッフェ。
ハマグリ、ホタテ、サザエ、エビを網焼きにして、寿司やステーキ(何故かある)を食べながらビールを飲んだ。
魚介類はさすがに美味い。
食事を終えて部屋に帰った。
かみさんの打ち身は、肘や肩が曲げる角度によって痛いらしい。
大晦日でも診療している整形外科をネットで検索して、帰ったら速攻で観てもらいに行くつもりだ。
俺はもう一度大浴場で湯に浸かって部屋に戻った。
ワレワレ夫婦は、部屋でレコード大賞をみながらまったりしたのであった。
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2019年12月31日、火曜日。
俺は4時30分に起床して、朝風呂に向かった。かみさんは当然ながらまだ寝ている。
目論見どおり貸切。
寝起きの体に、熱めのお湯。一気に血行が良くなる感じがして最高!
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6時頃かみさん起床。
肘と肩の痛みは、大分治まったと言う。
天気予報では雨のはずだが、実際には降っていない。しかし風がかなり強い。
「運転できそう?」と聞くと、
「大丈夫」とかみさんは答えた。
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朝食も海鮮を中心としたビュッフェだ。
鯖の塩焼き、焼き鮭、お新香、味海苔、納豆、肉じゃが、きんぴらごぼう、白いご飯とお味噌汁。これだけでも完璧な朝食だが、網で焼きながら食べる鯵の開き!
普段の朝食では、絶対に食べない量の料理とご飯を食べた。
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食事を終え、ゆっくり支度をしてチェックアウト。
荷物をバイク2台に括りつけた。
雲が多めで風が強いが、南風のせいか全く寒くない。
出発の支度をしていると汗をかく。なので防寒インナーを脱いだ。
で、9時10分頃出発。
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国道410号、国道127号を走行して、昨日寄るはずだった金谷のザ・フィッシュに到着。
ここで鋸山バウムクーヘンを購入。
まだ2019年の台風15号の爪あとが残る房総半島。鋸山バウムクーヘンを購入すると、自動的に復旧基金に10円寄付されるらしい。
それにしても暖かい。
超寒がりのかみさんも、ここでインナー一枚とネックウォーマーを脱いだ。
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最早快晴。
内房の海の向こう、はるか富士山が神々しい姿をみせていた。
ザ・フィッシュを出発し、富津中央インターから館山自動車道に乗り、館山自動車道から京葉道路をノンストップで走った。
午後12時30分。
今日の朝ホテル南海荘を出発してから149km、昨日の朝我が家を出発してから303km走ってどうにか帰還したのであった。
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