6時起床。
今回は、高速道路で行くので時間に余裕がある。俺はゆっくり支度を整え、振り分けバッグとショルダーバッグを持って玄関を出た。シートカバーとロックをはずし、荷物をシートとキャリアに括り付けた。ETCカードを車載器にセットし、エンジンをスタートさせた。ETC車載器のオレンジとグリーンのランプが点滅した。やがてオレンジのランプが消え、グリーンのランプが点滅から点灯に変わって、準備が整ったことを示した。時刻は朝7時。俺はゼファー750を車道に引っ張り出して跨り、サイドスタンドを蹴り上げて発進したのだった。
ガソリンスタンドに寄ってゼファー750のタンクを満タンにし、滝野川インターから首都高に上がった。記念すべきETCの初使用。ちなみに、我が家の車はETC未装着なので、これが正真正銘初ETCなのだ。俺はスピードを落としてETCゲートに向かった。遮断機が近づくにつれ「開くのか!?開くのか!?」とドキドキしたが、以外なほど直前になって遮断器はパカッと開いた。あー、怖かった。とは言え無事にゲートを通過した。いやー、こりゃ便利だ!ちょっと感動!
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山手トンネルを通過し、新宿線を下った。板橋ジャンクション通過時に軽く渋滞しが、その他は概ね順調に進んだ。高井戸の料金所で、再びドキドキしながらETCゲートを通過し、八王子の料金所では大分慣れてきたとはいうものの、それでもやっぱりドキドキしながらETCゲートを通過した。
まだすいている中央道の下りを快適に走行し、藤野パーキングエリアで休憩。トイレを済ませ、パーキングエリアのコンビニでおにぎりを買って朝食とした。
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一宮御坂で中央自動車道を降りた。国道411号で石和の街をゆっくり通過。甲府市街で県道6号に入り、県道7号を右折して昇仙峡ラインに入った。かくして、早くも昇仙峡の長潭橋(ながとろばし)付近に到着だ。時刻は11時。少し早いが昼飯にしよう。
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長潭橋付近に数件ある食堂の内の一軒に入った。店のご主人と思われる男性が、少し驚いたような顔で「いらっしゃいませ」と言った。俺の他にお客さんがいなかったので「いいですか?」と確認すると、ご主人は「はいどうぞ」と言って奥に移動しながら、「今お茶を・・・」と言った。俺はあいているテーブル(と言っても全てあいている)の椅子に腰を下ろし、壁に貼られたお品書きを眺めた。
ご主人が急須と湯のみを持って戻って来た。俺は「ほうとう鍋お願いします」と注文した。
「ほうとうは、煮込みますので10分位かかりますが、いいですか?」と言うので、
俺は「はい、だいじょうぶです」と答えた。
待っている間に、ご主人が観光マップを持って来てくれて、付近の見所を丁寧に説明してくれた。
「道、凍結とか大丈夫ですかねー?」と聞くと、ご主人は
「少し凍っているとろがあるかもかもしれないけど、たいしたこと無いでしょうからゆっくり行けば大丈夫ですよ」と言って、一旦奥に下がった。
観光マップを眺めていると、大きな鉄鍋に入ったほうとうが運ばれてきた。いや、そうとうでかい。これってほんとに一人前?と思わず訝るほどの大きさだ。ご主人は「熱いですから気をつけて下さい」と言って下がった。俺はさっそく食べた。ハフハフハフ、ほんとに熱ちっ!一口目でうわあごをやけどしたけど、美味しいので余裕で完食したのだった。
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さて昇仙峡観光だ。
俺は食堂の駐車場を出発し、渓谷沿いの一方通行を上流に向かった。ちなみに、この道は観光馬車が運行していて、4月から11月の土日祝は車両通行止めだ。
昇仙峡は富士川支流の荒川上流沿いの峡谷で、一般には昇仙峡として知られているが、正式には御岳昇仙峡(みたけしょうせんきょう)という。標高680メートルの仙娥滝(せんがのたき)から標高460メートルの長潭(ながとろ)橋までの約5キロメートルの区間は、花崗岩が侵食された荒々しい景色が続く。俺は渓谷の対岸に次から次へと現れる、オットセイ岩、猿岩、はまぐり石、猫岩と言った奇岩、巨岩を眺めながらゆっくり進んだ。
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昇仙峡の中間地点にある県営駐車場に、ゼファー750を停めた。ここからは徒歩で、遊歩道を登るのだ。
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県営駐車場から仙娥滝(せんがたき)まで、徒歩で約30分。遊歩道沿いの景色はいよいよ荒々しく、渓流は花崗岩の合間を縫って、美しくも力強く流れ落ちて行く。
やがて、遊歩道の前方に大きく張り出した崖と、それを支えるような配置の岩が現れた。先ほど食堂でもらった観光マップによれば、石門と呼ばれるものらしい。
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俺は岩のトンネルをくぐった。何気なく上を向き、俺は驚愕し、なんだかお尻のあたりがむずむずした。それというのも、張り出した崖を支えていると思われた岩は、実は崖の壁面と微妙に離れていて、なんともいえない不安定感をかもしだしていたからだ。なんか怖えーーっ!崩れない内に早く通過しよう!
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ああ、危ないところだった。(危なくねーよ!)
俺は石門を通過し、さらに進んだ。昇仙橋を渡って対岸に出ると、まもなく仙娥滝に到着。仙娥滝は昇仙峡の最奥部に位置していて、地殻変動による断層によって生じた、花崗岩の岩肌を削りながら落下している。滝の落差は30mで、日本の滝100選に選定されているらしい。
岩肌を大量の水が激しい勢いで落下していて、周辺の崖には飛び散った飛沫が付着して氷り着いている。
俺は、デジカメを取り出して写真を数枚撮った、そして遊歩道を戻った。
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県営駐車場に戻り、自販機で缶ジュースを買ってしばし休憩。ライディング用の装備で歩いたので、結構汗をかいた。トイレを済ませて出発し、県道7号から県道104号に入った。甲府盆地を見渡す気持ちのいいワインディングを走った。
県道104号から県道6号に入ろうとして迷子になり、何がなんだか分からなくなった。しばらく迷走したが、どうにか国道411号に出た。俺は甲府の市街地や石和温泉を走り回り、ガソリンを給油して、コンビニで今晩の宴会用食料を調達した。そして国道20号沿いの宿に向かったのだった。
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午後3時30分。
出発から207km走って本日の宿泊地、「スパランドホテル内藤」に到着だ。
建物脇の駐車場にゼファー750を停め、コンビニで買った食料を入れたショルダーバッグを肩に下げ、振り分けバッグとヘルメットを両手に持ってホテルの入り口に向かった。
「スパランドホテル内藤」は、日帰り入浴施設とビジネスホテルを合わせたような施設だ。フロントは、まんま日帰り入浴施設の受付のような感じで、チェックインするためには靴を脱がなくてはならない。俺はブーツを脱いでロッカーに入れ、フロントで朝食込みの宿泊料金、7,000円を支払ってチェックインしたのだった。
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部屋はごく普通の、ビジネスホテルのシングルって感じだ。俺はライディングウエアを軽装に着替え、食料を冷蔵庫に収納した。缶コーヒーを飲んで一息つき、早速大浴場に向かった。
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ここのお風呂は温泉だと思っていたのだが、お湯は最新のナノテクによって生まれた「ナノ水」を使っているということなので、なんのことやらよく分からないが、どうやら温泉ではないようだ。ま、いーか。
大浴場には、実に様々な浴槽がある。露天風呂だけでも、炭酸泉の浴槽、ミルキーバス、壷湯と3種類あり、内風呂は、ヒノキ風呂、バイブラバス(泡風呂)、甲州ワイン風呂、寝湯、打たせ湯、温水プールと、そりゃーもうえらい騒ぎだ。サウナに至っては、高温のサウナ、ソフトサウナ、スチームサウナ、塩サウナ、ヒーリングサウナと、実に5種類ものサウナがあるのだ。
俺はサウナから始めて全浴槽制覇を試み、途中でのぼせてギブアップしたのだった。一旦部屋に戻ってビールを2本飲み、暫く休んでからもう一度大浴場に行った。そしてついに、念願の全浴槽制覇を達成したのだった。く〜(何の話だよ)
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部屋に戻って、本格的な宴会スタートだ。コンビニで買ってきたサラダやおしんこ、ジャッキーカルパスをつまみに、ビールと日本酒を飲んだ。そして本日撮影した写真を見たり、小説を読んだりしてすごした。いや、こんなことが、なんだかとっても楽しいのだ。
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2月6日、日曜日。5時に起きて朝風呂を浴びた。
テレビの天気予報によれば、今日の山梨県は曇り後雨。と言っても、雨は降るとしても夜かららしいので、俺の帰路には影響が及ばないはずだ。最高気温は昨日同様暖かめの予報だが、早朝の最低気温は-2℃くらいらしい。出発時は注意が必要だ。
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朝食はホテルの食堂でバイキング。料理は十分な種類が用意されていた。大浴場入り放題で、こんな朝食付きで一泊7,000円はお値打ちではなかろうか。
朝食を終え、部屋に戻って身支度を整えてチェックアウト。
時刻は午前8時。駐車場で暖気しながら荷物を括り付け、ヘルメットとグローブを装着して出発した。
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国道20号を少し走り、勝沼インターから中央自動車道に乗った。いや、ETCほんと便利!全然空いている高速道路を順調に走り、談合坂サービスエリアに入った。自販機のカップコーヒーを飲んで休憩し、出発しようとしたが思い直して売店に向かった。それというのも、かみさんが出発前に、お土産的なものを買って来い的な雰囲気をかもしだしていたことを思い出したからだ。
俺はお土産屋さんを見て回り、無難に饅頭を購入した。そして出発。
八王子、高井戸の料金所をETCで通過して首都高に入った。山手トンネルを通って東北自動車道方面に進み、鹿浜橋で降りた。
午前10時30分。
今朝石和を出発してから134km、昨日自宅を出発してから341km走って無事帰宅したのであった。
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