そして週末の朝。4時に起床して4時50分に出発した。
環七のセルフスタンドで給油して、丸山陸橋の下を右折。新青梅街道、千川通り、青梅街道を経由して五日市街道を西進し、国道16号を超えてコンビニに入った。本日の朝食はランチパックのピーナッツに、ふた付き缶のブラックコーヒー。甘いパンと、ブラックコーヒーの組み合わせが大人の味だ。(ばか?)
駐車場で朝食を食べつつ休憩していると、少し前に追い越したロードバイクのおじさんが駐車場に入って来た。おじさんは、俺の近くに自転車を停めてコンビニに入って行った。小さいコンビニ袋を持ってすぐに出てきて、自分の自転車の近くで缶ジュースを飲んで菓子パンを食べた。そして俺に向かってこう言った。
「ゼファーですね」
「はい」俺は答えた。
「私もバイク乗ってるんですよ。CB1300ー」
そのおじさんはCB1300と言う時、なぜかせんさんびゃくのくをくーと伸ばして発音した。
「へー、大きいのに乗ってるんですね」
「ええ、まあ・・・自転車は健康の為ですけどね!」そう言っておじさんは自分のお腹をポンポンとたたき、「がはははははっ!」っと大声で笑った。俺はビクッとなった。びっくりするほど無意味に大きな笑い声だったからだ。俺もなんとなく「あははははは・・・」と調子を合わせたが、はっきし言って、面白くもなんともないのであった。
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五日市街道から都道33号に入り、警察署を超えると道は急激に田舎道になり、道の両側の緑が濃くなっていった。十里木の交差点を超えて秋川沿いに進み、あきる野市から檜原村に入った。
檜原村役場の先のT字路を右に折れて都道205号に入り、道端にゼファー750を停車。檜原街道(都道33号)を離れると、とたんに往来する車がいなくなった。俺はネジブタを開けてブラックコーヒーを飲み、ツーリングマップルを眺めた。つかの間休憩し、この先の神戸岩目指して発進したのだった。
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都道205号から案内版に従って右折。キャンプ場をいくつか超えて進み、神戸岩に到着。道が広くなっている場所にゼファー750を停め、エンジンを停止してバイクから降りた。
神戸岩は、神戸川上流にある高さ約100m、幅約140mの大岩壁で、最近では隠れたパワースポットとして知られ(隠れてるのか知られてるのか、どっちだよ)、テレビでもちょくちょく取り上げられている。峡谷はジュラ紀に属する角岩層からなり、岩石が特に堅硬であるために形成されたらしい。
俺はシートに跨って再びエンジンを始動し、サイドスタンドを蹴り上げて発進した。神戸隧道というトンネルを通って、大岸壁の裏側に行って見ることにしたのだ。石造りの古めかしい小橋を渡り、岸壁に穿たれたトンネルというよりは洞窟に侵入し、そしてすぐに後悔した。真っ暗!ゼファー750のヘッドライトでは太刀打ちできないような闇がそこにあり、しかも道が悪い。トンネルの内壁は、無造作にくりぬかれたデコボコの岩盤で、天井から湧き水のしずくが、ポツリポツリと垂れている。はっきし言って怖い。
不気味な暗闇の中を低速で慎重に進み、ようやく出口の明かりが見えた時の安堵感といったら・・・
それほど大した距離ではないのだが、暗闇の中を進む感覚は、永遠の無限大道に迷い込んだ心持ちだ。いやー、檜原村恐るべし!都心からこんなに近いのに、むちゃくちゃ秘境っぽいじゃないか!
岸壁の反対側は、特になんてことのない場所だった。俺は狭くて舗装の荒れた、傾斜のある山道で、必死になってゼファー750をユーターンさせ(もちろんテケテケターンだ)、根性を出してもう一度トンネルをくぐった。トンネルを抜けて岸壁の檜原村側に出ると、なんだかようやっと正常な世界に復帰した気分になったのだった。それ程までに、神戸隧道には不気味な雰囲気が漂っている。
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神戸岩から都道205号を戻り、看板に従って小道を鋭角に右折。
午前7時30分。出発から81km走って本日の目的地、払沢の滝の駐車場に到着した。
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ゼファー750を駐車場に停めてヘルメットをホルダーにロックし、俺は払沢の滝に向かう遊歩道に分け入った。遊歩道入り口の案内版によれば、ここから払沢の滝までの所要時間は徒歩で約10分だ。
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道の左側には北秋川支流のせと沢が流れている。木々の間を縫って清らかな水が流れるその景観は、まさに絵に描いたような清流って感じだ。俺は安全な場所で川原に降り、淵の水をすくって顔を洗った。ものすごーく気持ちいい。
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遊歩道をさらに歩くと、段々水の音が大きくなってきて、やがて深い森の木々の狭間に払沢の滝が姿を現した。なんとなく神々しいような威厳を感じさせる雰囲気だ。
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俺は鎖を伝って岩を登り、できるだけ滝つぼに接近して滝を見上げた。上段の落ち込みは生い茂る木々で見えないが、木漏れ日を浴びた水流のしぶきが、きらきらと美しく輝いている。
払沢の滝は日本の滝百選に入る檜原村の滝を代表する名瀑だ。全4段でトータル60m、最下段(26m)の落ち込みにある深い淵はとても神秘的で、古くから大蛇が住むと伝えられている。厳冬期には美しく結氷することでも知られている。滝が僧侶の払子を垂らした様に似ている事から、かつては払子の滝とも呼ばれていたらしい。
俺は数枚写真を撮影して、カメラをウェストバッグにしまい、深呼吸をして森の空気を肺に満たした。
もはや本日のテーマ「檜原村でマイナスイオンを浴びよう」は、充分達成したように思われる。俺は遊歩道を歩いてゼファー750の側らに戻り、払沢の滝の駐車場を後にしたのだった。
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こんにちは、道明寺司です。
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それはさて置き、払沢の滝を後にして檜原街道を戻った。まだ時間が早いので、秋川街道や都道184号の日の出町の辺りを意味もなく走り回りった。信号が少なく、交通量が少ないのでいい気分だ。
日の出町のつるつる温泉で風呂に入ろうと思っていたのだが、営業時間の前から人が沢山ならんでいたのでやめにして、日の出インターから圏央道に乗ったのだった。
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すいている圏央道を快走して、八王子ジャンクションで中央道に入った。中央道に入った瞬間から反対の下り車線は渋滞していた。かたや、俺が走行する上り車線は超快適。圏央道と中央道の料金1,250円払って八王子料金所を通過。下り車線は相変わらず大渋滞だ。俺は順調に走行し、石川PAにゼファー750を入れた。
そしてこれ!パーキングエリアのかき揚げうどんだ!(まただよ)
石川PAのかき揚げうどんは、黒々としたつゆといい、チープなかき揚げといい、まさに俺好み。100点満点のかき揚げうどんなのだ。
100点満点の、グレートなかき揚げうどんを食べて石川PAを出発。順調に走行して高井戸で一般道に降り、国道20号と混雑している環七を走った。
午前11時45分。出発から202km走って、無事に帰宅したのであった。
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