2009年10月31日(土)、11月1日(日)
秋の南信州、八ヶ岳高原道路

目的地 滝沢牧場キャンプ場、八ヶ岳高原道路
ルート
1日目 :  環七 → 国道254号 → 県道179号 → 県道24号 → 国道463号 → 国道299号 → 国道141号 →
県道2号 → 県道68号 → 国道141号 →「滝沢牧場」→ 国道141号 →「灯明の湯」→
国道141号 →「滝沢牧場」(265km)
2日目 :  国道141号 → 県道11号(八ヶ岳高原道路)→ 中央高速(小淵沢〜高井戸)→ 国道20号 → 環七
(204km)
走行距離 469km

美しい季節だ。都心にあっても既に、沿道のイチョウの葉が舞って歩道を黄色く染め、熟して落ちた銀杏が、誰かに踏み潰されて臭気を放っている。(美しくないじゃん)
一月前とは明らかに違う空の色。秋の空は透明感があり、そして高い。見上げると、のけ反りすぎて、後ろに倒れそうになるほどだ。(ばかなのか?)
空気は澄み、(まだ続くのかよ)普段みなれた景色がどことなくお洒落な感じだ。好天の午前中、我が家の近所の橋の上から眺めると、はるかかなたの富士山が意外なほど鮮明にその姿を見せていたりする。

ツーリングに関して言えば、道の駅のバイク置き場は停めほうだいだし、キャンプ場でばか騒ぎするグループがいなくなる。この時期早朝の地方道で、気まぐれにバイクを停車して眺める田舎の風景は格別だ。そんな季節が到来したわけだが、なによりも嬉しいのは虫がいなくなるということだ。蜂とかアブとかゲジゲジとか正体不明の毛虫とか、ああいやだ!はっきし言ってうんざりだ。それらのことを差し置いても、どうやら、俺は寒い季節のほうが走りたい気持ちが強いようなので、俺にとって待望の季節がおとずれたというわけだ。

そんなこんなで久々のキャンプツーリングだ。
週の後半、例によってウェザーニュースのマップ天気予報とにらめっこを続け、前日の夜に目的地を長野県の南佐久に定めた。国道299号の十石峠を超えて長野県に入り、国道141号を南下して野辺山のキャンプ場に到着する。もちろん温泉に入ってのんびりと過ごすつもりだ。
翌日は早起きして、朝の八ヶ岳高原道路を走るのだ。

午前3時30分起床。
思いの他寒い。俺は半袖のTシャツと長袖のTシャツを重ね着し、ウィンドストップインナージャケットを着て革ジャンを羽織った。下は山用のもも引きとユニクロのエアテックパンツだ。ひょっとして真冬用のライディングジャケットを着て、オーバーパンツを穿いたほうがいいだろうか?いやいや、今日は晴天のはずだ。真冬の装備では日中暑いにちがいない。俺は今晩と明朝の冷え込みに備えて、厚手のフリースジャケットと、ユニクロのマイクロフリースパンツをバッグに押し込んだ。

身支度が整い、キャンプツーリングの荷物を家の外に運び出した。当然ながら外はまだ真っ暗だ。厚着をして若干汗をかいているので、ひんやりとした空気が気持ちいい。30分も走れば体が冷えて、寒くなることは分かっている。しかし、それも太陽が昇るまでの辛抱だ。
バイクのカバーとロックを外し、キャンプ道具をCB400SSにしっかりと括り付けた。
午前4時50分。かくて出発の準備が整い、俺は秋の南信州を目差して発進したのだった。

環七から国道254を右折して埼玉県に入り、所沢の辺りで国道463号を左折。すぐに県道179号を左折。県道24号に入り、西所沢のコンビニで一回目のトイレ休憩だ。暖かい缶コーヒーとチーズケーキを買って駐車場で食べた。時刻は5時50分。大分空が明るくなってきた。

出発から1時間走ったわけだが、予想どおりの寒さだ。
明るくなってきたとは言え、気温が上がるまでにはあと2時間くらいは掛かるはずだ。俺は振り分けバッグからフェイスマスクを引っ張り出し、おもむろに装着した。そして出発。
県道24号から国道463号(バイパス)を走りついで、国道299号に入った。

正丸トンネルを超え、道の駅「あしがくぼ」で2回目のトイレ休憩。
道の駅の入り口を入り、徐行で進みながら2輪置き場を探すとすぐに見つかった。駐車場の奥の歩道のような場所が2輪置き場になっていて、バイクが2台停まっていた。俺はそちらに進んで歩道のような場所に乗り上げ、CB400SSを停車した。

トイレを済ませ、何枚か写真を撮って直ぐに出発。
国道140号を超えて秩父駅周辺を通過し、国道299号をさらに進んだ。

国道299号の小鹿野町に入ったあたりは、明るい雰囲気の気持ちのいい場所だ。道幅も広く、走りやすい。

暫く進むと、道は狭いのぼりの山道となった。おれは道の両側に降り積もった落ち葉に気をつけながら、慎重に走った。

志賀坂峠を超えて少し進むと、「恐竜の岩駐車場」(多分そんな名前、違うかも・・)っていう看板があったので入ってみた。駐車場は普通の空き地で、コンクリート製の巨大な恐竜が設置されている。唐突な感じで、なんだかとっても怪しい雰囲気だ。

ツーリングマップルによれば、ここに「さざなみ岩」っていうのがあって、岸壁に恐竜の足跡が残っているらしい。

歩いて駐車場を出て少し進むと、道の右側に「恐竜の足跡」と彫られた石碑?石塔?が立っていた。もう一本ある石碑?石塔?には「瀬林の漣痕」と彫られている。
そこに恐竜の足跡の「さざなみ岩」はあった。

傍らの説明書きによれば、露出した岩肌の中腹よりやや上にある窪みが恐竜の足跡らしい・・・
うーん、微妙だ。もみじやかえでの形のような足形がはっきり残っているのかと思っていたのだが、たんなる窪みにしか見えない。

この岩は、この地域がまだ海だった約1億2千万年前の砂浜に残された波の跡が化石となったもので、それが「さざなみ岩」という名前の由来だ。「さざなみ岩」は群馬県の天然記念物に指定されていて、その漣痕に残されていた穴は昭和60年に恐竜の足跡であることが分かったらしい。

それにしてもだ。1億2千万年前の砂浜が、なぜ切り立った岸壁になっているのか・・・謎だ。

山道を下って上野村に入るとちょっとした市街地となり、ガソリンスタンドがあったのでCB400SSのタンクを満タンにした。オドメーターはまだ160キロだが、この後国道299号は再び長い山道に突入するはずなので、念のために給油したのだ。

スタンドを出て少し走ると道の左側に、道の駅「上野」があった。ここで小休憩だ。道の駅では二人連れのライダーが休憩していた。

写真を撮っていると、ライダーの一人が近づいてきて「重装備ですね。キャンプですか?」と言った。
「はい」俺が答えると、ライダーは少しだけ驚いた表情をした。
「もう寒いでしょ。どこまで行くんですか?」
「野辺山のあたりまで」
「ああ。それじゃ299号から141号で行くんですね?」
「そうです。どちらまで行くんですか?」俺が問いかけると、 「299号で行けるとこまで」とそのライダーは答えた。もう一人のライダーがトイレから出てきて、俺と話をしていたライダーは「それじゃあ、気を付けて」と言ってお連れさんの方に歩いて行った。俺も「お気をつけて」と声を掛けた。

国道299号は十石峠に向かって、再び登りの山道となった。狭くて急勾配、そして激しく曲がりくねっている。そのクネクネぶりたるや、まるで舗装林道のようだ。この辺りまで来ると、木々は大分色づいていて、俺は美しい紅葉の中を慎重に進んだ。

そしてようやっと、十石峠に到着した。

俺は十石峠の展望台に登り、妙義荒船佐久高原国定公園の山並みを眺めた。

十石峠を超えると長野県だ。道は下りの急勾配となり、なおも激しく曲がりくねっている。峠を超えてから植生が変わったのか、相変わらず鬱蒼とした森の中を進むものの、群馬県側と違ってなんとなく明るい感じだ。

山道を下りきり、本郷バイパスを快調に走った。小海線の線路を越えて国道141号を左折。

コンビニの駐車場に入って俺は考えた。時刻は11時前。キャンプ場に向かうには早すぎるし、昼食にもまだ早い。近くに面白そうな場所はないか。俺はツーリングマップルで検討した。すると、県の景勝地に指定されていて悲しい伝説が残るという「おみかの滝」というのがあることが分かった。で、そこに行ってみることにした。

国道141号から県道2号を左折して、7km程進むと「おみかの滝」の駐車場があった。俺はCB400SSを停車し、傍らの階段を降りて行った。階段は踊り場のようなスペースで行き止まりとなり、木の札に滝見所と記されていた。周辺を見渡すと木々の切れ間、谷を挟んだ向こう側に「おみかの滝」はあった。

そして「おみかの滝」の伝承。(俺は土地に残された伝承の類に強く心惹かれるのだ)
むかしむかしあるところに・・・・・じゃなくてこの近辺の村のある家に、美しくて気立ての良い娘が嫁いできた。名をおみかと言った。家の姑はおみかが持ってきた綺麗な着物に嫉妬し、次第におみかまで憎むようになった。(野際洋子のような姑だ)
ある日姑はおみかを滝に連れて行き、「そら、あそこに不動様が・・・」と言った。おみかには不動様が見えなかったので、もっとよく見ようと滝に近づいて渕から身を乗り出した。野際洋子のような姑はニヤリとほくそ笑み、一心に覗き込んでいるおみかを後ろから滝壺へ突き落とした。
その後、非業の死をとげたおみかがドジョウに化身して(ドジョウかよ!)現れたため、野際洋子のような姑は恐れをなして、おみかの霊を慰める為滝を祀った。それ以後この滝を「おみかの滝」と呼ぶようになったというお話。
野際洋子に・・・じゃなくて姑に、どうしてドジョウがおみかの化身だと分かったのか。今回のツーリング中二つ目の謎だ。

「おみかの滝」から県道2号を少し進むと、「立岩湖」がある。俺はまたまたCB400SSを停車した。色づいた木々のなかにひっそりとたたずむ湖と、湖の名前の由来となった奇岩を眺めて出発した。
うーん長野の県道2号!なかなかあなどれない。

県道2号から県道68号を右折して進み、再び国道141号に出た。時刻は12時を回っている。早い時間に朝食を食べたので、しかもチーズケーキ一個だけだったので、猛烈に空腹だ。俺はツーリングマップルにも載っている信州牛の「レストラン141」の駐車場にCB400SSを入れた。

空いている席に着き、メニューを約2秒間眺めて決断した。
「すみませーん、Aランチ下さい。」考えるのがめんどくさいので、一番上に書いてあったものを頼んだのだ。

ツーリングマップルでキャンプ場までの距離を確認していると、Aランチが運ばれてきた。
Aランチは信州牛のハラミとロース、網で焼くかぼちゃ等の野菜、キムチ、サラダ、スープ、それにライスのセットで、1,050円だ。

俺は早速肉を焼いた。浸けダレが焦げる、香ばしい香りが漂った。
どれどれ?果たして信州牛のお味やいかに。・・・・うーん、激腹が減っているのでうまいが、はっきし言って牛角の焼肉と変わらん感じだ。まあ、うまいからいいけど。

「レストラン141」を出て国道141号をさらに南下すると、程なく道の右側に「滝沢牧場」の看板があった。
俺は看板の案内に従って進んだ。

午後2時。出発から233km走って本日の宿営地、「滝沢牧場キャンプ場」に到着した。

「滝沢牧場キャンプ場」は観光牧場の中にあるキャンプ場だ。牛の乳搾りや乗馬、アイスクリーム作りやバター作りなどが体験でき、場内には喫茶店、レストラン、ミニ・アスレチック、トラクター観覧車、トランボリン、4輪バギーなどがある。入場は無料だ。

キャンプ場の受付は、赤い屋根の喫茶店だ。俺はそこに向かった。
デッキに上る数段の階段を登り、古い木板のデッキをブーツでギシギシと軋ませながら歩いた。ペイルライダーのクリント・イーストウッドになったような気分で、喫茶店の扉を押し開けた。

店内はカントリー調だ。程よく古びた木工の装飾品や、馬具なんかが飾られている。いい感じだ。カウンターの中に女性が二人いた。
「キャンプの受付したいんですけど」俺が言うと、年かさのほうの女性が
「キャンプね、はい、じゃあこれ書いて下さい」と言って宿泊カードを差し出した。俺はカウンターに歩み寄り、差し出された紙に住所、氏名、年齢、電話番号を記入した。

受付の女性が「キャッ!」と言ってカウンターのなかでしゃがみ込んだ。若い方の女性が「どうしたの?」ときいた。
年かさの方の女性は「蜂が目にとまったもんだから」と言って、何事もなかったように立ち上がった。見ると小型のスズメバチのような蜂が飛んでいた。俺は驚き、且つ恐れおののき、約1.5メートル飛び下がって中腰になった。
若い方の女性が普通に蜂の方に近づいて行き、窓を開けて手で蜂を追い払った。実に落ち着いていた。そして俺に向き直り「だいじょうぶですよ」と言った。なんとなく笑いをこらえているような気がする。
俺は気を取り直して腰を伸ばし、再びカウンターに歩み寄って宿泊者カードの続きを完成させた。そして大人一人の料金500円を支払った。受付の女性が「バイクですか?」と言った。
「そうです」俺は答えた。
「今日は多分人が少ないから、バイクを中に入れてもいいですよ」
「え?いいんですか」これは思いがけず、嬉しい申し出だった。「ありがとうございます。」俺はお礼を言い、番号が書かれた木の札と、注意書きが印刷された紙を受け取って外に出た。

俺はバイクでサイトに乗り入れた。キャンプ場の利用者は、今のところ俺一人だ。俺は奥の方の林沿いに設営場所を決定し、CB400SSを停めた。

設営完了。
とりあえず一服したら、温泉と買出しだ。

キャンプ場を出て、国道141号を北上。20分程走ると左側に小さく「灯明の湯」の案内板があった。あぶないあぶない、見過ごすところだった。案内板のある小道を左折して800メートルほど進むと、日帰り入浴施設「灯明の湯」に到着した。

入り口を入ると、何故か観音像が安置されていて、お賽銭箱まで置かれいる。灯明の湯の料金は大人一人で800円。俺はブーツを脱いで下駄箱に入れ、受付で料金を払って入場した。貴重品をロッカーに入れ、洋服を脱衣籠に放り込んで浴室に入った。体と頭を洗って湯船に浸かり、ツーリングで冷えた体を温めた。何回でも言おう。寒い時の温泉は最高だ!
灯明の湯の泉質はナトリューム・マグネシューム炭酸水素塩・塩化物温泉(中性低張性低温泉)。
神経痛、筋肉痛、関節通、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔症、冷え性、病後回復、疲労回復、健康増進などに効果があるらしい。

灯明の湯を出て国道141号をキャンプ場の方に戻り、コンビニで今日の夕食と明日の朝食を購入した。キャンプ場の受付で聞いたところによると、この近所にはスーパーがないらしいのだ。


キャンプ場に戻ると、車で来たカップル(多分夫婦)とソロのライダーが到着してテントを張っていた。俺はサイトを徐行しつつ、傍らを通り過ぎる際「こんにちは」と挨拶した。カップルのキャンパーには無視されたが、ソロのライダーは気持ちよく挨拶を返してくれた。

ビールを飲んでのんびりしていると、新たにソロのライダーが到着して設営を開始した。

あたりがいい感じで暗くなってきた。少し早いが夕食にしよう。今日の夕食は「武田信玄ゆかりの味噌鍋うどん」だ。冷凍食品で火に掛けるだけだ。調達がコンビニだったので、これくらいしか入手できなかったのだ。カップ酒を飲みながらこれを食べた。

缶詰と冷凍食品の夕食を終え、乾き物をつまみながらウィスキーを飲んだ。

静かだ。
風がなく、気温は7度。以外に寒くない。心配した天気も良好で、空にはたくさんの星が瞬き始めている。世界を照らしているものは、小さなキャンドルランタンと、月明かりだけだ。

久しぶりに例の感覚が訪れた。俺が言うところの、夜のキャンプ場の静けさと、酔いがもたらすファンタジー。その感覚が徐々に盛り上り、実に様々な思いが去来した。俺は一つ一つの思いを吟味して、丁寧に咀嚼した。そしてその様子をもう一人の俺が客観的に見ているといった具合。

この感覚を味わうためには、いくつかの条件がある。まず静かであること。暗いこと。キャンプ場に俺一人か、あるいは周りのキャンパーと程よい距離があること。そして気持ちよく酔っ払っていることだ。
この、哲学的興奮状態とも言えるひと時は、俺にとってソロキャンプの醍醐味だ。

ああ、いいキャンプだ。
俺は満足してテントに入り、暫し読書して就寝したのだった。

5時30分起床。
テントの中を片付けて、ジッパーの音をたてないように気をつけて外に出た。相当な冷え込みを覚悟していたのだが、それほど寒くない。100円ショップで買った怪しい温度計によれば、5時40分の時点で気温は4度だ。微妙な予報に反して今日も好天。キャンプ場の澄んだ空気を、俺は久しぶりに満喫した。

トイレと洗面を済ませてテントの傍らに戻ると、朝6時を知らせる鐘がスピーカーから流れた。するとまもなく他のキャンパーも起きだして、テントの外に出てきた。もはやコッフェルのたてる音に、神経質になる必要はなくなった。俺はコーヒーを沸かし、コンビニで買ったロールパンを食べた。

さて撤収だ。キャンプ道具を全て一旦傍らのテーブルの上に並べ、ズタ袋や振り分けバッグの定位置に押し込んだ。キャンプサイトにテーブルがあると、何かと便利だ。

撤収完了。
ゴミを炊事場のゴミ箱に分別して捨て、番号の書かれた木札を受付に返してチェックアウト。
午前7時45分にキャンプ場を出発した。

南佐久の景色は美しい。

空は青く、突き抜けるように高い。朝の太陽が低い角度から峰々を照らし、全てのものが自ら光を放っているようだ。そんな光景の中、俺は国道141号を南に進んだ。はっきし言って最高の気分だ。

長野県から山梨県に入り、県道11号を右折。八ヶ岳高原道路だ。清里駅を越えて少し走ると、牧場公園の駐車場があった。俺はウィンカーを出してCB400SSのハンドルを左にきった。

牧場公園は、山梨県立八ヶ岳牧場の一部を一般に開放した、広大な公園だ。草原には牛や馬や羊が放牧されている。まだ時間が早いので、売店はやっていない。ソフトクリームを食べたかったのだが残念だ。

俺は広々とした景色を、ぼーっと眺めながら休憩した。少し離れたところでソロのライダーが、やはりぼーっと景色を眺めていた。

牧場公園を後にして、八ヶ岳高原道路を走る。進むに連れて展望はなくなってきたが、代わりにきれいな白樺林の中の、走りやすいワインディングになった。

大泉高原を超えて、道の駅「こぶちざわ」でトイレ休憩。もみじが真っ赤に紅葉していた。
道の駅を出て少し走り、小淵沢インターから中央高速に乗ったのだった。

中央高速はすいていた。俺は左車線を安全運転で、着実に進んだ。ときおり追い越し車線を、リッタークラスのバイクが猛スピードで追い越していく。

談合坂でトイレ休憩と給油を行い、一気に走って高井戸で一般道に降りた。

午前11時25分。
今朝「滝沢牧場キャンプ場」を出発してから204km、昨日の朝自宅を出発してから469km走って無事に帰宅したのだった。


秋本番。10月の終わりから11月の始めにかけて、俺は久しぶりのキャンプツーリングを楽しんだ。予報に反して好天に恵まれ、懸念された冷え込みも厳しくなく、奥秩父の山道を走り抜けて紅葉を満喫、そして南信州の景色を楽しんだ。

野辺山の「滝沢牧場キャンプ場」は設備は最低限だが、トイレがきれいで、なんとなく落ち着くキャンプ場だ。シーズン中は混雑するのだろうが、春先や秋にはツーリングの中継点にお勧めだ。



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