6時30分出発
堀切から立石を超え、蔵前橋通りから国道14号に入った。房総半島をツーリングする際のお決まりのコースだ。俺は市川橋を渡って千葉県に入り、昇ったばかりの太陽に向かって進んだ。
いい天気だ。しかし、一時間も走ると体が冷えてきた。俺はデニーズの駐車場に乗り入れ、いつもの場所にCB400SSを停めた。
千葉を走るとき、幕張のデニーズでデニーズモーニングを食べるのが最近の定番だ。俺は注文してトイレを済ませ、トーストやべーコン、ウィンナーとスクランブルエッグ、そしてサラダ少々を平らげ、熱いコーヒーを2杯飲んで出発したのだった。寒い場所から暖かい場所に入って、ゆっくり食事をするとどーも眠くなっていかん。
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曽我陸橋の側道から県道24号を左折し、すぐに左折して県道14号(茂原街道)を走った。順調に進み、茂原のあたりで国道128号に入った。経過する時間とともに気温が上がり、全く寒さを感じなくなって来た。
今日の服装は、下は股引、ユニクロのエアテックパンツ、オーバーパンツ。上はTシャツ、長袖Tシャツ、ゴールドウィンのウィンドストップインナー、そしてフリースの上に防寒防水のライディングジャケットだ。
用途に合わせて作られた製品は、それなりに偉大だという知見を、最近の俺は得ている。冬のツーリングでライディングウェアを着用するようになってから、以前のように帰ってコタツに入りたくなるような辛さを感じることがなくなったからだ。
さて、国道128号は時間の経過とともに交通量が増し、場所によっては渋滞するようになってきた。とはいえ、復活ツーリングの高揚感が今の俺には作用している。渋滞だろうがなんだろうが、バイクにまたがって太陽の下を進むだけで嬉しい。
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コンビニでトイレ休憩をとり、太東、大原、夷隅を越えて一気に南下した。
勝浦市に入る手前で左の脇道にそれた。交通量が少なく、車がほとんど走っていない道だ。県道なのかどうなのか名前もわからないが、ちょっとした山道気分が味わえる、俺のお気に入りだ。気持ちいいカーブが連なる道を走り、海洋研究所だかなんだか(正確には覚えていない)を超えて坂を下りて行くと、カーブを超えたところで突然眼下に岩和田港が広がる。そのドラマチックな光景たるや、ちょっとしたものだ。そして今日の空の色ときたら、メキシコ湾の上空に広がる青空もかくやとばかりの美しさだ。(なんでメキシコ湾なんだよ)
坂を下りながら見る岩和田港と、濃い青空。そのシャープな境界線が、劇的な光景に拍車をかけている。
岩和田港を越えて少し走り、俺は岩和田海水浴場の駐車場にCB400SSを停めた。ここでコンビニで買った缶コーヒーの登場だ。俺は振り分けバッグから缶コーヒーを引っ張り出し、車止めに腰掛けて飲みながら一服したのだった。
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La linea de la costa!
ああ、陽光あふれる冬の海岸線。俺は128号をさらに南下した。
2ヶ月ぶりのツーリングだ。CB400SSは好調で、しかもこの快晴。他に必要なものがあるか?いや、ない。
こりゃーもうあなた、こてこての東洋人でもラテンの血が騒ぐっていうものだ。
それはともかく、時刻は11時を30分程回り、腹が減って来たので小湊のあたりでラーメン屋に入ってラーメンを食べた。
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鴨川市に入った。宿泊予定のキャンプ場に大分近づいて来たので、俺は食材の買い物をすることにした。ジャスコの駐輪場にCB400SSを停め、自転車で来た地元のおばちゃんと一緒に、ジャスコの入り口に向かった。おばちゃんはエコバッグを腕に下げ、俺はグローブをつっこんだヘルメットを腕に下げている。
大きなスーパーは何処に何が売っているのか、探すのに苦労する。俺はジャスコの中を若干足を引きずりながら歩き回り(さながら、トラックに轢かれた後のターミネーターのようだ)、目的のものを買い物籠に追加して行った。
豚こま、たまねぎ、キャベツ4分の1、サラミ、明日の朝食用にクロワッサンを購入した。
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内陸に入って行く国道128号から国道410号を左折し、千歳駅のあたりでキャンプ場の案内にしたがって右折。その後も案内板に従って2度右折して、急な登りの小道をキャンプ場に向かった。みかん狩りの受け付けの建物(このキャンプ場はみかん狩りと併設されているのだ)で、「キャンプ場に来たんですけど。」と告げると、受付にいた女の人がキャンプサイトの方を指差して「好きな所に張って下さい。」と言った。
俺は発進し、さらに急になる小道を登った。
午後2時20分。出発から165km走って本日の宿営地、「オレンジ村オートキャンプ場に到着だ。
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場内には二組のキャンパーがいた。バイクを停めて場内を歩き回り、奥の方の誰もいない一角を設営場所に決定した。
俺は荷物を降ろし、設営を開始した。インナーテントにフレームを通す作業や、ペグダウンに思いの他苦労した。それというのも、今だ骨折の影響で深くしゃがむことができないからだ。
ともあれ俺は設営を完了し、一服して日帰り温泉に向かうことにした。俺はCB400SSのエンジンを始動し、ヘルメットとグローブを装着して発進した。キャンプ場の料金を支払うために受付に寄ると、受付の女の人が「お風呂はどうします?」と言った。
「え?お風呂あるんですか?」
「はい、別料金で300円になりますけど」
「じゃあ、お願いします」俺は5時から貸切風呂の予約をし、管理費200円とバイクのキャンプ料金1,000円、そしてお風呂の料金300円、合わせて1,500円の支払いを済ませた。
かくして日帰り温泉に向かう必要はなくなった。俺は近所のコンビニに行き、白ワインとウィスキーのポケット瓶を買ってキャンプ場に戻った。
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さてと、時間に余裕ができた。
とりあえず俺は水場に行き、玉ねぎとキャベツを刻んだ。
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そして、焚き火の支度をし、暫し寛いだのであった。
オレンジ村オートキャンプ場は、太平洋を見下ろす小高い岡の上に位置する、リーズナブルなキャンプ場だ。みかん農園のご主人が経営していて、みかん狩りができる農場と併設されている。
場内には焚き木用の端材が置かれていて、キャンプ場利用客は無料で使えたり、朝には搾りたてのミルクのサービスがあったり(朝早く出発したのでもらえなかった)、サービス満点のキャンプ場だ。
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夕方5時。
時間になったので、お風呂だ。
俺はブーツをサンダルに履き替えタオルを首にかけ、入浴セットを持って風呂場に向かった。ここのお風呂は受付の横に建っている。受付の女の人が、「お風呂かき回して置きました。いい湯加減ですから、ゆっくりどうぞー」と言った。
更衣室に入って鍵をかけ(300円で貸切は安い)、衣類をすばやく脱いで浴室に入った。沸かし湯だが、檜の浴槽がいい香りだ。俺はかけ湯をして、ちょうどいい温度の湯にゆーっくり浸かったのだった。
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風呂から上がってテントの傍らに戻ると、いい感じで日が暮れ始めていた。俺は小枝を集めて火を熾し、無料の焚き木で焚き火を開始した。そして缶ビールのプルリングを引き開けた。
太平洋が徐々に夕闇に溶け込んで行き、代わりに漁船の灯す明かりが林の切れ目から見える景色となった。
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サラミをつまみにビールを飲み終え、夕食の支度を開始した。とは言え、今日の夕食は超お手軽だ。刻んで置いたキャベツと玉ねぎ、豚こま、コンソメキューブを鍋に入れ、水を入れてガスストーブに掛けて蓋をするだけだ。豚肉に火が通ったところでクレージーソルトをふり、塩コショウで味を調えた。
これをハフハフ言いながら食べ、ワインをラッパ飲みした。冬のキャンプでは、料理が温かいだけでご馳走だ。
料理を平らげ、ワインも飲み干した。めがねを掛けて見上げると、空には降るような星が瞬いてる。俺は既におきとなった焚き火に手をかざし、目に付いた小枝を拾って放り込んだ。小枝はおきの中で暫く燻り、ポッと小さな炎を上げてすぐに燃え尽きた。
さて、寝るか。
時刻は夜9時だ。俺はキャンドルランタンを吹き消し、テーブルとイスを前室にしまってテントに入った。
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朝5時。
俺は携帯のアラームで目を覚まし、暫くグダグダしてから意を決して寝袋を這い出した。前室に置いた温度計は1度を示している。もう一度寝袋にもぐり込みたい欲求にかられたが、どうにかこれに抗った。寝袋やマットを収納袋にしまい、テントの中を片付けた。そしてオーバーパンツとライディングジャケットを身に着けて、テントの外に出た。
トイレに行き、歯を磨いて洗面を済ませ、コーヒーを沸かしてクロワッサンを食べていると徐々に東の空が明るくなってきた。どうやら今日も好天のようだ。
朝食を終え、30分程のんびりしてからキャンプ道具の片付けを開始した。
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撤収完了
周りに誰もいないので、エンジンを始動して充分に暖気を行い、7時30分に出発した。出発の挨拶をするつもりで受付に寄ってみたが、まだ誰もいなかった。
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国道410号から海沿いの県道297号を経由して、国道128号に入った。俺は太平洋を右に見ながら、朝日を浴びて走った。寒いけど、爽快だ。
鴨川市に入って県道24号を左折した。鴨川道路を通過して暫く走り、案内板に従って房総スカイラインに入った。
Un camino montanes!(まただよ)
朝の房総スカイライン。おだやかなコーナーが連続する、気分爽快な山道を俺は走りぬけた。
まあ、なんつーか、普通の山道だが、空いてて走りやすいので気分がいい。
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房総スカイラインの料金所を過ぎて、県道92号を右折。県道92号は周辺が開けた開放的な道だ。房総スカイラインより、こちらのほうが実は気に入った。
県道92号を10km程走り、君津インターから館山自動車道に入った。いつもながらキャンプした翌日、早い時間に帰路につくと、ツーリングに向かうバイクと頻繁にすれ違う。特に今日は天気がいいので、館山自動車道と京葉道路の下り車線にはバイクがたくさん走っていた。
SS乗りの集団が車を縫うように走り抜けて行き、暫くすると黒一色のハーレー軍団が現れて、そうかと思うと大人数の旧車会が、下り車線いっぱいに広がって進み、その後ろに渋滞を作り出しているといった具合だ。
俺はすいている上り車線を、安全運転で順調に走行した。
午前10時50分。今朝キャンプ場を出発してから145km、昨日の朝自宅を出発してから322km走って無事帰宅したのであった。
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