2008年10月12日(日)、13日(月)
湯煙めおと旅情IN草津

目的地 草津
ルート
1日目 :  国道122号 → 国道50号 → 県道3号 → 県道34号 → 国道353号 → 国道145号 →
国道292号 → 草津(193km)
2日目 :  国道292号 → 県道55号 → 国道353号 → 国道17号 → 県道76号 → 国道17号 →
国道125号 → 国道122号(183km)
走行距離 376km

読書の秋、実りの秋、スポーツの秋、行楽の秋、芸術の秋、味覚の秋。
秋を表す言葉はいろいろあるが、最近の我が家に関して言えば、ツーリングの秋だ。
日本の四季は、その季節によって時間の流れ方が違うような気がする。夏は猛スピードで駆け去り、冬は留まり、人々は春の訪れをじっと待つ。そして春と秋、特に秋は季節と人のリズムが同調している感じだ。落ち着いた空気、しっとりとした風情のただよう風景。ツーリングに最適な季節ではなかろうか。この週末は3連休だが、土曜日はかみさんが仕事だ。そこで我々夫婦は、日曜と月曜(体育の日)の一泊二日で温泉ツーリングの計画を建てた。

この先寒い地方へは段々行きにくくなるだろう。いまの内に山の方に行っておこうと言うことで、我々夫婦は草津を目的地に定め、宿泊手段を検討した。かみさんがインターネットで素泊まりの宿を見つけ、「ここでいい?」と言った。俺は「いいじゃん。」と答え、かみさんは予約フォームで最後の一部屋を予約した。草津温泉の中心から徒歩15分の立地で、貸切家族風呂(あいてれば何回でも入れる)が二つあって、一人一泊4,200円の宿だ。

土曜日はかみさんを職場に車で送り、ビラーゴのサドルバッグサポート(もどき)の作成と、ツーリングの準備にいそしんだ。
出発の朝。我々夫婦は5時に起床して身支度をした。かみさんは新調した冬用ツーリングジャケット、俺は革ジャンを着用した。用意してあった荷物をCB400SSとビラーゴに積載し、6時10分に出発。我々夫婦は国道122号を北上し、秋の草津温泉を目指したのだった。

はじめに言っておくとアクシデントや小さなトラブル、いろいろなことが主に行きの行程で発生した。旧車会、大渋滞、謎の大事件、デジカメ紛失(またかよ)、ビラーゴ異音でかみさん泣きそう、等々。今回のレポートでは、それらの事柄に関して語られることになるであろう。(なに重々しく言ってんだよ)


国道122号の蓮田辺りのコンビニでトイレ休憩と朝食を取り、利根川を渡って群馬県に入った。北関東自動車道の太田桐生インターを超えて国道50号と合流。好天のせいか、ツーリングのライダーがたくさん走っている。我々夫婦はB+COMでくだらない会話をしながら快調に進んだ。「この辺はなんにもないねー」
「ほんとだねー」
「風強いねー」
「ほんとだねー」
「上州の空っ風ってやつかなー」
「そうなのかなー」
って具合だ。

上毛電鉄の相生のあたりで国道122号から県道3号に入った。前橋市街は混雑が予想されるので、ショートカットしてスルーするのだ。県道3号から県道34号を走り次ぎ、渋川の辺りで国道353号を左折。国道17号と合流してバイパスを少し走り、道の駅「こもち」に入ってバイク置き場にCB400SSとビラーゴを停車した。連休の中日だけあって、駐車場はほぼ満車。停め場所を探す車が何台も徘徊している。

我々夫婦はソフトクリームを購入するために売店の列にならんだ。かみさんは普通のミルクのソフトクリームがいいと言っている。壁に貼られたお品書きには生乳ソフトクリームと書いてあり、「なまにゅう」と読むのか「せいにゅう」と読むのかわからずにドキドキしたが、俺は意を決して「せ、せいにゅうソフト下さい!」と言ってみた。そして店員さんの反応を伺った。店員さんは普通に「はい」と答えた。ああ。良かった。あってた。我々夫婦はベンチに座ってのんびりとソフトクリームを食べ、休憩を終えて道の駅「こもち」を出発したのだった。

道の駅「こもち」を出てすぐの信号を左折し、国道17号と分かれて国道353号を進んだ。草津方面に観光に行くと思われる、他府県ナンバーの車がたくさん走っていてペースがあがらない。この先そこはかとなく渋滞の予感。俺はB+COMで「そろそろガソリン入れておこーか」とかみさんに伝え、我々夫婦はセルフのスタンドに入った。そしてあいている給油機の脇にそれぞれのバイクを停めた。

けたたましい爆音が聞えて来た。と、思ったら旧車会と思われるバイクが、何台もスタンドに入って来て給油を開始した。一般の車は給油を終えてスタンド出て行き、全ての給油機が旧車会のバイクで満たされた。今やスタンドは、我々夫婦と旧車会の貸切だ。俺とかみさんはそそくさと給油を終えて発進し、スタンドの出口で車が途切れるのを待った。それが最悪のタイミングとなった。

旧車会も給油を終えたようで、まず俺の左側に1台、続いてかみさんの右側に1台、後方に1台、また1台と旧車会のバイクが並び、我々夫婦は完全に取り囲まれる形となった。ど、どうしましょ。完全に車が途切れてから発進したら、このまま旧車会と一緒にツーリングになってしまう。俺はタイミングを計り、B+COMでかみさんに「今だ!」と合図した。車と車のちょっとした間隔に我々夫婦は合流して発進し、逃げるようにその場を後にした。後方では旧車会のバイクが、けたたましい音で空ぶかししながら合流のタイミングを計っている。ああ、よかった。

給油を終えて少し進むと、危惧していた渋滞が始まった。車の列は先の方まで延々と続いているようだ。我々夫婦は道幅の広いところでは左側をすり抜けて進み、狭いところでは車の列にならんであせらずに進んだ。後方から先ほどの旧車会が反対車線を逆走して来て、蛇行しながら爆音とともに前方に消えていった。

渋滞の中、国道353号から国道145号に入って吾妻渓谷沿いを進んでいると、パトカーが2台と消防車が回転燈をつけたまま停車していた。少し進むと駐車スペースにパトカーが4、5台と救急車が停まり、空には救護ヘリが縄梯子を垂らしてホバーリングしている。渓谷沿いの柵には野次馬が群がって渓谷を見下ろしている。いったい何があったというのか、そりゃもう大騒ぎだ。俺はバイクのステップに立ち上がって渓谷を覗き見ようとした。が、見えない。かみさんも立ち上がろうとしてもがいていたようだが、アメリカンなのでステップに立つことすらできない。バイクを停めて何事が起きたのか確かめたい衝動に駆られたが、停める場所がないのでしかたなく通過した。うーん、気になる。

謎の事件現場、あるいは事故現場を通過してから車の流れがスムーズになった。我々夫婦は「ありゃ混むよなー」とか話しながら走った。そろそろお昼だ。俺もかみさんも空腹だが、ここまで来たら草津まで行って食事をすることにした。暫く順調に進んだが、国道292号を草津方面に右折すると、右折した途端に再び渋滞が始まった。無理なくすり抜けられそうな場所では、路肩を慎重に進んだ。暫く進むと道路工事をやっていて、対面交互通行になっていた。我々夫婦は「こりゃ混むよなー」とか言いながら工事箇所を通過し、流れが順調にになったところで邪魔にならない場所にCB400SSとビラーゴを停めて小休止を取った。

渋滞の中の走行は疲れる。俺はゆっくり一服し、携帯灰皿でタバコをもみ消した。そして写真を撮ろうと思い、ウェストバッグのジッパーを開けた。あ、あれ?俺はウェストバッグの中をひとしきり引っ掻き回した。ズボンのポケット、ジャケットのポケットを上からパンパンし、手を突っ込んで確認した。そして再びウェストバッグの中を引っ掻き回した。ない。やっぱない。デジカメが・・・(またかよ)
実際のところウェストバッグを開けてデジカメが見あたらなかったときから、俺には分かっていたのだ。道の駅「こもち」で生乳ソフトクリームの撮影をしたあとテーブルにデジカメを置いて、そのまま置いてきちゃったのだ。まず、間違いない。かみさんに「デジカメがない・・・」と言うと、「またー?」と言われた。俺は考えた。今から道の駅に取りに行っても、多分ないだろう。それに、もう一度ここまでの渋滞を走るのすごーくいやだ。俺はあきらめ、携帯のカメラで写真を撮影することにした。かくして、ゴールデンウィークの東北ツーリング時に緊急購入したデジカメは、わずか5ヶ月の使用期間を経て俺の手を離れて行ったのだった。俺のばかっ!

休憩を終えて、少し走ると草津温泉街の手前でまたまた渋滞。しかし、もう少しの辛抱だ。我々夫婦は渋滞の列にならんでおとなしく進んだ。13時30分頃どうにか温泉街に到着し、我々夫婦は食事を取る店を探して走りまわった。突然、B+COMのスピーカーからか「あれ、なんか、なんか、なんか!」っていうみさんの声が聞えてきた。
「どうした?」
「なんか変な音がするー!」
我々夫婦はバイクを道端に停め、俺はバイクから降りてかみさんに歩み寄った。
「どんな音?」
「なんかボワンボワンってこの辺から」そう言ってかみさんは、ビラーゴのエンジンの下の辺りを指さした。俺はビラーゴのアクセルをあおってみた。しかし、異音は聞えない。
「ちょっと俺が乗ってみる」
俺はビラーゴを走らせてみた。ぜんぜんボワンボワンじゃないが、確かにガーーーッっていう異常な音がして、スピードをあげるほど音は大きくなる。何かと何かが干渉している音だ。俺はUターンしてかみさんのところに戻り、前後のフェンダーとか、昨日装着したサドルバッグサポート(もどき)をチェックした。しかし問題はみあたらない。かみさんは不安そうにバイクを覗き込んでいる。そしてかみさんが問題を発見した。「もしかしてこれかな!」

かみさんはチェーンカバーを指さしていた。俺はチェーンカバーを見てみた。これだ。間違いない。理由は分からないが、チェーンカバーが傾いていて、走るとチェーンと干渉して異音を上げていたのだ。俺は力ずくでチェーンカバーを正常な位置に戻し、もう一度ビラーゴを走らせてみた。OKだ。かみさんに「直った」と伝えると、「あー良かった」と胸をなでおろし、心底ほっとした顔をしていた。

結局、14時過ぎに温泉街入り口付近の食堂に入り、かみさんは天ぷらそば、俺は天ざるそばを食べた。計画では志賀草津道路を渋峠くらいまで走るつもりだったのだが、国道292号のそちら側は大渋滞だ。我々夫婦は湯釜と渋峠を断念し、国道292号を反対方向に進んで、宿に向かったのだった。

15時5分。出発から192km走って本日の宿泊地、ワンディ美津木に到着だ。我々夫婦は通りの向かいにある旅館美津木本館の受付でチェックインを済ませ、となりのコンビニでビール、ジュース、お菓子を買って部屋へ向かった。

我々夫婦が泊まる部屋は2階の6畳の部屋だ。部屋には自炊の為の設備があり、コタツがあってなんだか自分の家にいるみたいだ。我々夫婦は旅装を解いてくつろぎ、さっそく風呂に向かった。渋滞の疲れと、デジカメ紛失のショックを癒すのだ。

ワンディ美津木には貸切風呂が二つあり、本館の風呂も利用できる。貸切風呂の名は「長生の湯」と「極楽の湯」。生きたいのか死にたいのか、どっちなんだよって話だが、我々夫婦はとりあえず「極楽の湯」に入った。かけ湯をして温泉につかり、夫婦そろって「うぇ゛〜〜」とかいいながら疲れを癒したのだった。う〜ん、極楽極楽!

風呂から上がって部屋に戻り、俺はビール、かみさんはジュースを飲んでのんびりしてたら眠くなってきた。我々夫婦はコタツに足を突っ込んで横になった。座布団を枕にしてしばしお昼寝タイムだ。

19時頃昼寝から目覚めた。かみさんはまだ気持ちよさそーに爆睡している。俺はかみさんを揺り起こした。我々夫婦は身支度をし、食事のために外出した。宿の近辺は暗くて人影もなく寂しい感じだったが、草津温泉の中心に近づくにつれ、段々にぎやかになって来た。

草津温泉の中心地に到着し、我々夫婦は夜の湯畑を観光した。源泉の湯煙がライトアップされ、幻想的な雰囲気だ。

おみやげやさんで野沢菜やワサビ風味の海苔の佃煮を購入。ツーリングで夜の観光をするのは初めてだが、これはこれで結構楽しい。

この写真はかみさんの携帯で撮った、夜の草津を散策する俺の写真だ。メガネの奥の涼やかな視線が知性を感じさせる。誰が何と言おうがインテリ風だ。(誰も何も言わねーよ)

これと言って食べたいものもなく、我々夫婦は食事をする店を決めあぐねていて、歩いているうちに段々体も冷えてきた。結局、食事はコンビニの食べ物を買って宿に戻り、我々夫婦はもう一度温泉に入った。今度は「長生の湯」だ。こちらの方が湯温が高い。散歩で体が冷えているので、とてつもなくいい気持ちだ。う〜ん、長生き長生き!(なんじゃそら!)

コンビニで買った夕食を食べ、ウィスキーのポケット便を空けて就寝。おれもかみさんも横になった瞬間に爆睡モードに突入したのだった。

携帯の目覚ましで5時起床。朝風呂に浸かって目を覚ました。缶コーヒーを飲みながら、昨日コンビニで買ったパンを食べ、一服して支度開始。この時期、この辺りの早朝は間違いなく寒いはずなので昨日より重装備だ。

支度を終えて駐車場におりて、荷物をCB400SSとビラーゴに積載。出発準備が整ったところで本館の受付に行ってチェックアウトし、6時10分に草津温泉を出発した。我々夫婦は国道292号を六合村方面に走った。今日も快晴。空気が冷たく、シールドがやたらと曇る。

草津町から六合村に入ると国道292号は山道となり、カーブと勾配がだんだんきつくなってきた。俺はミラーでかみさんを気遣いながら走った。しかしかみさんは、以外とあぶなげなく付いてくる。だいぶバイクの運転に慣れてきたようだ。シールドをおろすと曇って前が見えなくなるので、我々夫婦は寒いのを我慢してシールドを開けたまま走った。

山道を走りきって突き当たりを右折して少し走り、道の駅「六合」に入って小休止。キャンピングカーが数台停まってパーキングキャンプをしていた。我々夫婦はウィンカーを消そうとして、なぜか二人同時にバイクのホーンを「ビビッ」と鳴らしてしまった。時刻はまだ7時前だ。キャンピングカーの中で睡眠中のみなさん、ごめんなさい。

道路の電光掲示板によると、現在の気温は6℃。寒いわけだ。

道の駅「六合」を出発して少し走り、県道55号を左折して日本ロマンチック街道を走る。この道は去年尻焼き温泉にツーリングに行ったときにも帰りに通った。そのときも車は少なかったが、今日は朝早いのでほとんど車が走っていない。我々夫婦は朝のロマンチック街道を、ほぼ貸切みたいな感じで走った。朝の山道はやっぱ最高だ。寒いけど・・・

下りのカーブが連続する地帯に差し掛かり、俺がB+COMで「気持ちいいなー」とか言いながら走っていると、かみさんが「普通に走っていいよ。あたしは後からのんびり行くから。B+COMが通じなくなったら待ってて。」と言った。
俺はかみさんに「じゃ、ちょっと走るわ。のんびり来てね。」と言い、少しの間いつものペースで軽快に走った。空気は冷たいけど超さわやかだし、車は全然来ないし、ものすごーくいい気分だ。

道幅が広くなっている場所があったので俺はCB400SSを停め、かみさんを待つことにした。と思ったらかみさんは俺の直ぐ後ろを走っていて、俺とほぼ同時にビラーゴを停車した。速っ!ってゆーか俺かっこ悪っ!俺が遅いのか、かみさんが速いのか。恐らくその両方だ。思っていたほど俺が速くなく、思っていたよりかみさんが速かったってことだ。それ以後俺は無理のない範囲で若干ペースを上げ、我々夫婦は軽快に山道を走りぬけたのだった。

県道55号を走りきり、突き当たりの国道353号を右折した。渋川方面に向かって快調に走り、国道17号の旧道を通過してバイパスを右折。すぐ右側にある道の駅「こもち」に入った。俺は無駄だと思いつつ道の駅の従業員の人に、「昨日デジカメの忘れ物ありませんでした?」と聞いてみた。道の駅の人は「ちょっと待って下さい」と言って建物の奥の方に入っていった。どうやら事務所に確認しに行ってくれたようだ。あるわけないよなーとか思いながら待っていると、さっきの人が戻って来た。「デジカメは届いてないそうです。すみません」
「いえいえ、ありがとうございました」俺はお礼を言った。
近くでやり取りを聞いていたおじさんが「携帯だったら出て来るかもしれないけど、デジカメは持ってかれちゃうよ」と言い、俺は「ですよねー」と答えた。俺は完全にあきらめ、缶コーヒーを飲みながら一服して道の駅を後にした。

国道17号を10キロ程走り、県道76号を左折。暫く走って国道17号(上武道路)を右折。新上武大橋で利根川を渡って埼玉県に入り、熊谷市のコンビニでトイレ休憩。休憩を終えて出発し、国道125号から国道122号に走り次いだ。国道122号は国道16号の手前で渋滞したが、その他は順調に進み我々夫婦は一気に走った。

12時5分。草津のワンディ美津木を出発してから183km、昨日の朝我が家を出発してから376km走って無事に帰宅したのであった。


まあなんつーか、いろいろな出来事のあったツーリングであった。

気になっていた吾妻渓谷の大騒ぎは、帰宅後WEBで調べたところによると、遊歩道から100メートル滑落して重症をおった観光客の救助中だったらしい。行楽シーズンにはこの手の事故が付き物だが、命があってなによりだ。

志賀草津道路の白根山や湯釜、そして渋峠に行けなかったのは残念だったが、速めに宿に到着し、我々夫婦は草津の湯をまったりと楽しんで満足した。志賀草津道路はまた今度って感じだ。



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