■■ 初日 羽田空港〜新千歳空港〜日高 ■■
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海岸通りや国道357号線の渋滞をドキドキしながら黙々と進み、11時過ぎに頃羽田空港に到着した。我々夫婦とバイク2台が搭乗するANA67便の出発時間は14時だが、2時間30分前に指定のガソリンスタンドでガソリンを抜き取り、2時間前にバイクの搭載手続きを行う必要があるのだ。
指定のスタンドでガソリンの抜き取りを無事完了。スタンドから貨物受付までと、到着空港の貨物受け取りから指定のスタンドに移動するために充分な量のガソリンは残してくれた。続いて西貨物ターミナルにあるANA航空貨物窓口で搭載手続きを行い、貨物を預ける場所にバイクで移動してバッテリーターミナルからプラグを外した。これをやらないと、飛行機に載せてくれない。荷物を降ろして、中身を検査すると思っていたのだが、「ガスカートリッジとか、スプレーとか、危険物は入ってませんか?」と聞かれ、「はい」と答えたらOKだった。あー良かった。
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CB400SSとビラーゴの搭載手続きを無事完了し、ヘルメットを持って空港バスで旅客第2ターミナルに移動した。荷物はバイクに積んだまま運んでくれるのだが、ヘルメットは預かってくれないのだ。時刻は12時15分。出発までまだ余裕があるので、空港のレストランでゆっくりと昼食だ。俺もかみさんも、BLTバーガー(でかっ)を食べた。ここんとこメタボ対策で、カロリーには気を遣っているのだが、今回のツーリングでは何も考えずに美味しいものを食べるつもりだ。
食事を終えて出発ロビーに移動し、ANAの67便に無事搭乗。俺は今回のフライトで、エンジニアブーツが金属探知機にひっかかることを知った。多分つま先の鉄板が反応するのだろう。
座席に付いてシートベルトを締め、かみさんは速攻で睡眠に入った。俺も目を閉じた。昨夜はほとんど寝てないので、少しでも寝ておこう。
・・・・・・・・・・って寝れねーーーっ!!!
実のところ俺は、飛行機がとっても怖いのだ。
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結局、全神経を傾けて眠ろうと努力している内に千歳に到着した。あー怖かった。かみさんは出発から到着まで、すやすやと気持ちよさそうに寝ていた。悔しい。ともあれ、我々夫婦はバイクと共に雲の上を1,000km移動し、ついに降り立ったのだ。北海道に!
タクシーで貨物ターミナルに行くと、CB400SS とビラーゴがちょうど運ばれて来たところだ。我々夫婦は受け取りの手続きを行い、出発時に取り外したバッテリープラグを接続したのだった。
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走行準備完了。
2008年9月10日水曜日16時30分、我々夫婦の北海道初ツーリングのスタートだ。正直な話、この時点で俺は既に感動していたのだった。
指定のスタンドでパックの料金に含まれるガソリン5リッターを給油し、差額を払ってタンクを満タンにした。我々夫婦は北の大地に記念すべき第一歩を踏み出した。20分程走行すると体が冷えてきた。やっぱり北海道は寒い。我々夫婦は国道235号を日高方面に左折したところでCB400SSとビラーゴを停車し、革ジャンを着用することにした。
荷物からそれぞれの革ジャンを引っ張り出して着込んでいると、後方から荷物を満載にしたチャリダーがやって来た。我々夫婦が手を振ると、チャリダーも手を振りながら近寄ってきた。
歳の頃、50から60くらいのおじさんだ。おじさんは我々夫婦のそばに停まり、「これからフェリーですか?」と言った。
「いや、今千歳に着いてこれからツーリングです。」と俺は答えた。
おじさんは北海道の人のようで、苫小牧からフェリーに乗って本州に行き、信州の方を10日間かけて自転車で回るそうだ。すごいっ!我々夫婦は圧倒された。
「フェリーの時間がありますんで、これで」おじさんはそう言って走り出し、我々夫婦は「お気をつけて!」と声を掛けたのだった。
革ジャンを着用し、ツーリングマップルでルートを確認し、一服して出発。少し走るとさっきのおじさんが前方を走っていた。我々夫婦は高々と左手を上げながら追い越した。ミラーを見ると、おじさんも手を振っていた。海沿いの国道235号線は徐々に暗くなり、段々寒さが本格的になってきた。この道で3人のソロライダーとすれ違い、3人ともピースサインを送ってくれた。うーん北海道だ。寒いけど嬉しい。我々夫婦は喜び勇んでピースサインを返した。
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宿泊予定のキャンプ場の受付は19時までだ。我々夫婦はがんばって走り、ようやく本日の宿営地、温泉の森キャンプ場に到着した。時刻は18時50分。ぎりぎりセーフだ。駐車場にはバイクが4台と、車が数台停められていた。もはや日はすっかり暮れている。空港からここまで、特に日が暮れてからは半端じゃなく寒かった。本日の教訓。9月の北海道は夜走っちゃいかん。
温泉の森キャンプ場は静内温泉と併設されるキャンプ場で、去年までは無料だったらしいが、今年から有料になった、ライダーに人気のキャンプ場だ。フリーサイトはテント一張り310円、区画のサイトは一区画510円だ。我々夫婦はフリーサイトの料金310円払って入場した。芝のフリーサイトは夜露でびしょびしょに塗れている。俺は管理棟に戻り、差額200円払って区画サイトに変更してもらい、ヘッドランプの明かりで設営を開始した。少し離れた場所のソロライダーに「こんばんは」と挨拶され、我々夫婦も「こんばんは」と答えた。
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設営完了。
テントを張って5分もたっていないのに、すでにフライシートは夜露でぬれている。思うに、日中と夜の寒暖の差が激しいからだ。
本日の寝床を確保し、一安心ってところだ。我々夫婦は管理棟で最寄のコンビニの場所を確認し、寒さをがまんして夕食の買出しに向かった。
写真はかみさんが荷物を整理しているところだ。ゲロを吐いているわけではない。
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コンビニで夕食用のお弁当や明日の朝食用にロールパン、そしてカップの日本酒とウィスキーのポケットビンを購入してキャンプ場に戻り、静内温泉に歩いて向かった。温泉施設の入り口でかみさんの写真を撮ったら、宇宙船から出てきたETみたいになってしまった。受付で料金(一人400円)を払って入場し、黒くてぬめりのあるお湯にゆーっくりと浸かった。静内温泉の泉質はナトリウム炭酸水素塩泉。神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺などに効くらしい。
風呂から上がり、星を見上げつつ歩いてキャンプ場に戻った。月明かりがあるためか、満天の星とはいかないが、充分にきれいだ。キャンパー達は皆テントの中に入り、既に寝ているようだ。炊事場の近くにいたキタキツネ!が、我々夫婦に気がついてどこかに逃げて行った。
我々夫婦はコンビニで買って来た夕食を食べ、歯をみがいてテントに入った。かみさんはテントに入るやいなや速攻で寝袋にもぐり込んで寝る体勢に入った。俺はウィスキーのポケットビンをちびちびやりながら、ツーリングマップルで明日のルートをチェックした。さ、俺も寝よう。明朝も早いのだ。本日の走行距離144km。明日は350km位走る予定だ。
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■■ 2日目 日高〜十勝〜釧路湿原〜摩周湖〜川湯温泉 ■■
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携帯の目覚ましで4時に起床。昨夜は相当冷え込んだはずだが、我々夫婦はイスカのパフ450と、アルファライト700で快眠した。昨日は23時頃に寝たのでまだ寝たりない感じだが、俺もかみさんも、驚異的な精神力を発揮して寝袋から這い出した。かみさんはトイレに向かい、俺はテントの中を片付けて外に出た。我々夫婦は歯を磨いて顔を洗い、北海道の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んだのだった。
コーヒーを沸かして朝食をとり、一服して撤収開始。昨日は暗くなってから急いで設営したので、荷物がグダグダになっていて整理するのに時間がかかった。
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撤収完了。
出発の支度をしていた隣のバイクのライダーに「どーもー」と声をかけ、出発予定時間から1時間遅れて、7時に温泉の森キャンプ場を出発。我々夫婦は本日の道程や、景色に超期待しながら北海道ツーリングの二日目を開始したのだった。
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静内温泉から国道235号に出る手前で一旦停車。傍らの牧場では馬が数頭、のんびりと草を食んでいる。
本日の日高地方は予報通り快晴。しかし、寒い。俺はTシャツの上に長袖のシャツ、ゴールドウィンのウィンドストップインナージャケットを着て革ジャンを羽織っている。かみさんは、Tシャツ、長袖シャツ、フリースジャケットの上に革ジャン、ジーンズの下には厚手のタイツだ。関東地方なら11月初旬の装備だ。
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手が届きそうな青空の下、我々夫婦は太平洋沿いの国道235号を走った。国道235号のこのあたりはサラブレッド銀座と呼ばれていて、道の内陸側には広大な、馬の牧場が次から次へと現れる。海では小船が処せましと並んで昆布漁をしていて、辺りの民家の庭には大量の昆布が干してある。そんな光景や様子を眺めながら、のんびりと進んだ。時折後方から追いついて来る車には、左によって道を譲り、反対車線を走って来るバイクには手を振って挨拶した。どのライダーも気持ちよくVサインを返してくれたり、手を振り返してくれる。気持ちいいーーっ!
浦河町のスタンドで給油し、国道236号(天馬街道)を左折して内陸に向かう。この道も両側に馬の牧場が並んでいる。情報ステーションターミナルっていうパーキングエリアにCB400SSとビラーゴを停め、トイレ休憩。北海道の公共施設は、どこもよく管理されていて、きれいだ。
休憩を終えて出発し、長さ4,232m、道内最長の野塚トンネルに入った。かみさんはトンネルが怖いらしく、トンネルに入った途端にスピードが落ちた。俺はB+COMで「だいじょぶかー?」と声を掛た。かみさんは「だいじょうぶ」と答えたものの、なんだか情けない声になっちゃってる。幸い後続車はいないので、我々夫婦はゆっくり野塚トンネルを通過した。
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野塚トンネルを超える前の両側は馬の牧場群だったのだが、トンネルのこちら側は牛の牧場群だ。両側に広がる柵のない草原に、普通に牛の群れが放牧されていた。注意書きの看板は、「馬横断注意」から「牛横断注意」に変わっている。
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国道236号から国道336号を左折し、浦幌方面に進む。
北海道は広い!広大な草原の中の信号のない道を、バイクでトコトコ走っているとつくづくそう実感する。我々夫婦は時折道端にバイクを停めて、小休憩をとりながら進んだ。
写真が小さくて分かりにくいかもしれないが、矢印の下で前屈運動を行っているのが俺のかみさんだ。(からだ固っ!)
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十勝川を越えて国道38号を左折して暫く走ると、根室本線と併走するようになり、再び海沿いの道となった。釧路市に入り、宿別のGSで本日2度目の給油。しらぬか駅を超えて10km程走り、国道38号の右側にある道の駅「しらぬか恋問」に入った。時刻は12時15分。ツーリングマップルによると、ここの豚丼が人気だというので食べてみるのだ。
バイクを止めて食堂に向かおうとしていたら、義母さんからかみさんの携帯に電話がかかって来た。かみさんは携帯で通話しながら「えーっ!うそーーーっ!!」とか言っている。電話の後、かみさんに「どうした?」と聞いてみたら、北海道で大きな地震があったので心配して電話してきたらしい。俺の携帯を見てみたら、兄と母親から着信していた。俺は兄と母親に電話して、心配ないと伝えた。自身があったのは9時頃で、日高とか十勝のあたりで震度5弱を記録し、津波警報だか注意報が出ていたらしい。その時間、正に日高とか十勝を走っていた訳だが、まーったく気がつかなかった。ま、気がつかないで幸せだった。というのも、気づいたらきっと怖かったはずだからだ。
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道の駅「しらぬか恋問」の食堂、恋問館に入り、かみさんは豚丼とそばのセット、俺はキムチ豚丼を注文した。なるほど、これが豚丼か。おいしいけど、飽きるな。我々夫婦は共通した見解に達し、それでも満足して道の駅を後にしたのだった。
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国道38号から県道53号を左折し、釧路市湿原展望台の駐車場に到着。せっかくだから一人400円払って展望台に登ってみた。え?どこが湿原?よく分からん。金返せって感じだ。本日の教訓。釧路湿原見物は、歩かなきゃいかん。
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さ、気を取り直していくぜ!次の目的地は摩周湖だ!
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引き続き道道53号を北上。道の両側に広がる風景は、どこまで行っても広大で開放的。もはやいい景色の大安売り状態だ。我々夫婦はB+COMで
「あ、右見てみ。すごいよ!」
「ほんとだー」
「うわ、左の景色すげー!!!」
「ほんとだー」
みたいな会話をしながら走ったのだった。
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道道53号から国道391号を左折し、2km程走って道道52号を右折すると、道の右側に摩周湖第一展望台の入り口が見えてきた。
実は、ここでアクシデントが勃発した。右の方向指示器をつけて駐車場に入ろうとしていたら、駐車場のおじさんがでてきて道の先の方を懸命に指差している。俺は既に右折を開始していたが、なんのことか分からないまま、おじさんが指し示す方向をちらっと見た。すると俺の左側をすり抜けて、かみさんのビラーゴが先の方に進んで行くのが視界に入った。そしてかみさんが走り去って行く方向に「オートバイ入り口」の看板が。俺は理解した。視線を前に戻すと、駐車場のおじさんが俺の正面でとうせんぼをしている。うぉーーーっ!おじさーん!!そりゃないぜ!!!俺はあせってブレーキを掛けた。そして咄嗟に「あ、あびない!!」とかわけの分からないことを叫びながら景気良くひっくり返ったのだった。
俺は恥ずかしさをこらえて起き上がり、バイクを起こそうとした。荷物が満載になっているので、起こすのに手間取ったが、駐車場のおじさんに手伝ってもらってどうにかバイクを起こすことができた。ブレーキレバーがぐにゃって曲がって、男爵髭みたくなっちゃてる。しかし幸い、その他のダメージはなさそうだ。あー、良かった。駐車場のおじさんが「バイク置き場はこの先ですから」と言った。俺は「す、すみません」と言ってそそくさとその場を走り去ったのだった。
バイク置き場に到着すると、かみさんがビラーゴを停めて俺を待っていた。俺はビラーゴのとなりにCB400SSを停め、「へへへへ。こけちゃいました」と言って、男爵髭のようなブレーキレバーを指差した。かみさんは「だいじょうぶ?」と心配していたが、幸い普通に運転するにはなんの支障もない。東京に帰ったら、速攻でブレーキレバー注文しよう。
さて、気を取り直して摩周湖だ。我々夫婦はバイクの駐車料金(1台100円)を払い、展望台に登って見た。今日の摩周湖には霧がなく、その全容を一望することができた。こけて雲っていた心が晴れていくような、素晴らしい眺めだ。
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摩周湖を後にして下りのくねくね道を走り、河湯温泉駅を超えて少し走ると、道道52号の正面にグランドホテルアレックス川湯が見えてきた。
16時30分。温泉の森キャンプ場を出発してから338km走って本日の宿泊地、川湯温泉「グランドホテルアレックス川湯」に到着だ。
我々夫婦はCB400SSとビラーゴを駐車場に停め、着替えとか必要なものだけバイクからおろした。その他のキャンプ道具とか、今日必要ないものはバイクに積んだままブルーシートを被せ、ゴムロープで縛った。そして、必要なものだけ持ってチェックインしたのだった。
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まず、大浴場に行ってさっぱりし、部屋に帰ってビールを飲んだ。夕食まで時間があるので、座布団を枕に畳に横になって昼寝をした。うーん、極楽、極楽。
時間になったので、食堂に行って夕食を食べた。温泉旅館でよくありそうな夕食だ。まずくもなく、うまくもなくってところだ。オプションで毛蟹やホタテを頼むこともできるのだが、やめておいた。
食事を終えて部屋に戻り、携帯で明日の天気予報をチェック。どうやら明日の道東地方は雨になるようだ。この辺りは早朝から夕方まで弱雨の予報。道央方面は道東より降水確率が低く、午後からは天気が回復に向かうようだ。明日は、帯広を越えてトマムまで走るので、西に行くほど天気は良くなっていくはずだ。明日は雨の中の出発になるだろうが、しょうがない。弱い雨なら、まあよしとしよう。
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■■ 3日目 川湯温泉〜屈斜路湖〜帯広〜トマム ■■
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って、大雨じゃねーかよ!
我々夫婦は朝食の和食バイキングを食べ終え、覚悟を決めてチェックアウトした。かみさんにとっては、これが初の雨天走行だ。さぞかしテンション下がってるんだろーなと思いきや、合羽からげてヘルメット。「雨がなんでぇ!こーなったら矢でも鉄砲でも持ってきやがれってんだ。こんちきしょーめ!」と思ってるかどうかは知らないが、肩にからげたレインウェアがいなせだ。
我々夫婦はホテルの軒下で、レインスーツを着込んでブーツカバーを装着し、荷物に雨対策を施して、果敢に出発したのである。
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川湯温泉からすぐの屈斜路湖の駐車場に入り、一応記念撮影。道道52号から国道243号を左折して、摩周駅の近くのホクレンで本日一回目の給油。今年からホクレンフラグがなくなってしまったのが残念だ。
国道243号から国道241号を右折して、阿寒横断道路を走る。暫く走るとアップダウンとコーナーが連続するようになって来た。関東や甲信越の峠に比べれば勾配もRも緩やかだとはいうものの、かみさんにとっては初めての峠道で、しかも雨だ。俺はB+COMで「だいじょうぶかー?ゆっくりでいいからなー」と声を掛けながら走った。かみさんの返事は「だいじょうぶ!楽しい!」
そうか。楽しいのか。今回のツーリングで大分バイクの運転になれて来たようだ。
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雨の阿寒湖を横目でにらんで通過し、オンネトーに向かう小道を左にやり過ごし、我々夫婦は帯広方面に黙々と走った。少しでも早く降水確率が少ない地方に移動したいからだ。
国道241号のこの辺りは足寄国道と呼ばれている。左右に広がる草原地帯を直線の道がつらぬき、我々夫婦が進む道の前方はかなたで雨の中に煙り、穏やかにフェードアウトしている。たまに、足寄方面から走って来るライダーが手を振ったりVサインをしたりしながら、反対車線を走り去って行く。遠くの丘の向こう側、低い雲が思いがけない速さで、やはり我々夫婦と反対の方向に飛び去って行く。
雨の北海道もまた美しい。我々夫婦は道端にCB400SSとビラーゴを停め、一枚写真を撮った。かみさんのテンションが、なんだかおかしなことになっちゃってるのが少し怖い。
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国道241号から国道274号に入った。上士幌町に入った辺りから雨は徐々に小降りになり、道の駅「うりまく」の駐車場に入るころには降ったり止んだりとなった。時刻は13時位。ここで昼食を食べようと思っていたのだが、ここのレストランは小奇麗で、レインスーツでは入り難い雰囲気だ。上着は当然脱ぐとして、レインパンツとブーツカバーをとるのに躊躇した。雨はまだ完全に上がったわけではないので、後でまた穿いたり装着したりするのが面倒だからだ。
我々夫婦は協議し、本日の宿泊地「アルファリゾートトマム」まで我慢して走り、そこで軽い昼食を採ることにした。
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鹿追町のホクレンで本日2度目の給油を行い、国道274号から国道38号を右折。雨の狩勝峠は、遅いトラックの後ろをコバンザメ走法で無事に走り抜け、道道1117号を左折。暫く走って道なりに道道136号に入った。
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15時5分。大雨の川湯温泉を出発してから254km走って本日の宿泊地、アルファリゾートトマムのザ・タワーに到着だ。
かみさんは初めての雨の中を長時間走行した訳だが、よくがんばった。
もはや雨は止んでいる。我々夫婦は必要な荷物を降ろし、必要ない荷物には例によってブルーシートを被せた。そして荷物とヘルメットを持ち、ザ・タワーのフロントに向かったのだった。
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「高いな。地震がきたら怖いな」
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「高いね。地震がきたら怖いね」
(なんじゃ、そら!)
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チェックインをして部屋に入った。売店で買ったパンで軽い昼食を採り、シャワーを浴びて荷物の整理を行った。アメ横で買ったずた袋は偉大だ。雨の中を長時間走ったのに、中の荷物は全く濡れていないのだ。この3,300円は価値がある。どろどろになったレインスーツを洗って浴室に干し、バッグやヘルメットを雑巾できれいにした。我々夫婦はやるべきことを終え、ソファーに座って寛いだ。雨中のバイク走行と、この快適な環境とのギャップがなんだかすごーく気持ちいい。
部屋の窓から外を見ると、雲の切れ目から沈み行く太陽が姿を現し、明日の好天を予感させる。
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トマムに何件かあるレストランの中から、我々夫婦はジンギスカンの食べ放題をチョイスした。俺はビール、かみさんはコーラを飲みながら、ジンギスカンを腹いっぱい食べ、満足して部屋に戻った。本日の教訓。北海道に来たら、一度はジンギスカンを食べなきゃいかん。
我々夫婦は部屋に戻り、ローカル局の天気予報を見た。明日は北海道全域で晴れらしい。明日は我々夫婦の北海道最終日だ。俺もかみさんも胸をなでおろし、ふかふかのベッドで心地よい眠りに落ちたのであった。
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■■ 4日目 トマム〜夕張〜新千歳空港〜羽田空港 ■■
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5時起床。
部屋の窓から見下ろすと、辺りは一面霧に包まれている。我々夫婦はてきぱきと身支度と荷造りをして部屋を出た。フロントで割引料金、7,600円を支払ってチェックアウトした。
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午前6時10分。最終日のスタートだ。
気を引き締めて安全運転で行くぜ!
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濃い霧に包まれた道道136号を安全運転でゆっくり走り、国道237号を左折して日高国道を南下。日高峠を越えて国道274号を右折し、石勝樹海ロードを走る。ここまで、以外とバイク少ないなーと思っていたのだが、この道で我々夫婦はピースサインの奔流を体験することとなった。
3連休の初日、早朝に上陸したと思われるバイクが、次から次へと苫小牧方面から現れ、全員が我々夫婦にピースサインを送りながらすれ違い、日勝峠方面に走り去って行った。全てのバイクに挨拶を返すのが忙しいくらいだ。しかし勿論、我々夫婦は全員に手を振ってピースサインを返した。なんだろう、この気持ちは。なんで俺は、こんなことにこんなに感動してるんだろう。帰りたくない。このままずーっと北海道を走っていたい。このとき俺の胸を満たしていたのは、そんな感情だった。
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夕張の辺りのパーキングエリアに入って、小休憩。我々夫婦は、二人で写した写真がないことに思いがいたり、地面にデジカメを置いてセルフタイマーで夫婦の写真を撮影した。
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国道274号から道道462号に入った。国道274号は交通量が多かったが、この道はほとんど車が走っていない。我々夫婦はそれぞれの走行写真を撮影することにした。
まず俺の写真。
こんな感じで走っとります。
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続いてかみさんの走行写真。真正面から撮影してみた。(って路肩かよ!)
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もはや我々夫婦の北海道ツーリングは、最終段階に差し掛かっている。アディオス北海道!また来年!って感じだ。
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道道462号から、国道234号、道道10号、国道36号をちょっとずつ走り次ぎ、新千歳空港に向けて道道130号を堂々と走った。(つまんねー!)
指定のスタンドでガソリンを抜き、貨物ターミナルに到着。千歳では荷物をおろしてチェックを受け、バッテリープラグをはずしてバイクをあずけた。
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タクシーで旅客ターミナルに移動。味の時計台のラーメンを食べて、お土産を購入した。お土産の発送手配を終え、出発ロビーに移動。3連休の初日なので、人がいっぱいだ。ロビーでのんびりして時間を潰し、13時30分発のANA64便に搭乗した。
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定刻から10分程遅れて羽田空港に到着。疲れていたせいか、帰りの飛行機では眠ることができた。空港バスの停留所がよく分からなかったので、タクシーで西貨物ターミナルに移動し、バイクを受け取ってバッテリーをつないだ。指定のスタンドでガソリンを満タンにし、羽田空港を後にした。我々夫婦は北海道の道を恋しく思いながら、都心の道を走った。
17時40分。今日の朝トマムを出発してから177km。3日前に自宅を出発してから913km走って無事に帰宅したのであった。
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